家庭用ミシンから工業用ミシンにアップグレード!英国ミシン事情、日本との違いなど

2020年8月31日月曜日

ハンドメイド

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ジューキDDL8000


家庭用ミシンしか使った事なかった私ですが、見たことも触ったこともない工業用ミシンを購入してしまいました。なぜそういうことになったのか、誰も興味無いかなとも思いつつ、身をもって感じた英国のミシン事情と共に今回もぐだぐだと書いていきます。

イギリスで人気のミシンは日本ブランド!

Youtubeでチュートリアルを見ることがあるのですが、英国人が運営しているチャンネルではジャノメ(JANOME)ミシンがよく目につきます。また、ロックミシンをまだ持っていない時にワークショップを数件見たけど、そこでもジャノメ(JANOME)のロックミシンが活躍してました。どうやら、イギリスで日本のミシンメーカーの評判は上々のようです。

ちなみに、小売店では初心者向けとして安価で売られているのは圧倒的にブラザー工業(BROTHER)とシンガー(SINGER)社のミシンです。シンガー(SINGER)はアメリカのミシンメーカーの老舗、ブラザー工業(BROTHER)が日本のメーカーって知ったのはここ最近です。中堅ユーザーや手芸ファンに支持者が多いのがジャノメ(JANOME)、スイスのベルリーナ(BERNINA)なども評判良いようです。

ちなみに私はここ6年間でミシンを3台使って、4台目として工業用ミシンを購入したわけですが、ここからその経緯について書いていこうと思います。

1台目、縫えれば何でもOKの一番安いミシン

私が英国で最初に手にしたミシンは、6年前にイアンが誕生日プレゼントに買ってくれたもの。当時はどんなミシンが良いのかなんて全くわからず、どれも大きく変わらないと思ってたので適当な手芸屋さんでシンガー社の一番安いモデル£89(12,000円位?)を選びました。そこからハマって小物を縫ってマーケットで販売をするようになり、冬物のコートや皮のバッグなんかも縫ってたら1、2年で壊してしまったんですけどね。少しでも厚みがある布は送らない目は飛ぶという不具合が連発したので、次はもっと良いミシンを買おうと思ったわけです。

2台目、中堅モデルの人気No.2

安いミシンを一台潰して、自分はどんなミシンが欲しいのか少し見えてきました。ボタンホールとジグザグ以外の特殊機能は不要、とにかく頑丈でパワーのある、繊細そうなコンピューターミシンではなくて、アナログでガシガシ縫ってくれそうなミシンを買おうと決めました。
そしてネットで検索してみると、一番人気がジャノメのHD2200、次がシンガーHD4411。シンガーが£240くらいでジャノメHD2200が£360、その差額は£120(17,000円位?)、人気ナンバー2のシンガーに決めました。
シンガーのミシンはカーテンとか厚地が難なく縫えるのがウリだったけど、フットコントローラーのスピード調整が難しくて小物を縫うには向かなかったようで、最終的には製造元アメリカのカスタマーサービスまで問い合わせたりもしたけど結局返品することになりました。
一年半くらい使ってたのだけど、当時ブレグジット前に英国では欧州の2年以内なら返品交換可能という法律が適用されて、全額返金してくれたんですよ。最近はどうなのかわからないけど。

3台目、家庭用アナログミシンの上位機種

シンガーを返品し、ネット上の家庭用ミシンではナンバーワン、専門店の店員さんも太鼓判のジャノメ(JANOME)HD2200を£360で購入しました。フットコントローラーの繊細さも抜群で、やっぱり「ミシンはジャノメ!」返し縫いもスムーズで裏が鳥の巣になりにくいしで気に入ってます。

4台目、JUKI製の工業用ミシン

ジャノメ(JANOME)HD2200は今でも問題無く使えるのですが、マスクを制作販売するようになってから、思い切って工業用ミシンを購入しました。これが大正解!

次項からはそれについて詳しく書いていきます。

ハンドメイドマスク制作販売を始める

2020年、英国では新型コロナCOVID-19が猛威を奮い、いつも出店していたイベントが中止となって、ボランティアで医療用のスクラブを縫う側マスクも作りはじめました。それが自分で言うのもなんですが、なかなか良く出来て、ネット販売するようになるとボチボチ売れるようになってきて、ひとつ問題が出てきました。

1枚縫うのに時間がかかりすぎる!

完成したマスクは満足な出来なのだけども、手間がかかりすぎて生産性が低く、折り返した端の部分も布地が厚くなってうまく縫えない、そして何より、端ミシンは私の技術じゃ一発では決まらない!何度何度もほどくことになりました。

上の写真は家庭用ジャノメ(JANOME)用端ミシンの押さえ。カーブを縫うのに右側の小さなブラシがついているのを使ってたけど難しい。左は直線用で布端からの距離が変えられるタイプ、ゴム入れる部分を縫う時に使用。

「急に職人のようにうまく縫えるわけがないじゃないか!心の乱れが縫い目の乱れ!」自分に言い聞かせながら縫っては解いてを繰り返してきたけど、200枚ほどマスクを縫ってもあまり変わらず、そしてとうとう、「職人はそれなりの道具も使ってるんじゃないの...?」と思うようになってきました。そして、端ミシンを決めるプロの秘密を調べてみたら、カーブも縫えるっていう素晴らしいアタッチメント「SUISEI SG20」というのを発見してしまったわけです。これは欲しい!

現在マスク制作で使ってる工業用ミシンの押さえはこの3種類。SUISEIをミシン屋さんはスイゼイって言ってました。マスクのカーブ部分の端ミシン用に「SUISEI SG20」を買ったのだけどミシン屋さんがおまけで置いていってくれた細い抑えを使っています。

日本とイギリスで異なるミシンの「種類」

さて、ここでざっくりおさらい。縫い物好きなら知ってる人も多いと思うけど、日本で販売されているミシンには、安価な「家庭用ミシン」とアパレル業界でお馴染みとされる「職業用ミシン」、工場などで使われる「工業用ミシン」と種類があります。そして、プロが使うアタッチメントは職業用と工業用ミシンに取り付けることができます。

そして「私もそろそろ職業用ミシンが欲しい」という、縫い物する人あるあるの道を順調に辿ってきたわけですが、何を買おうか調べていくうち、なんと、イギリスには「職業用ミシン」というカテゴリが無い事に気付きました。

職業用ミシンと工業用ミシンの違い

職業用ミシンとは、テーブルに置いて使う家庭用のミシンに似ているものの、機能はほとんど工業用ミシン。「直線縫い」に特化したもので、ジグザグや模様縫いみたいな機能はありません。といいつつも、私は職業用ミシンは触った事も無いけどパワーもあってファッション系の学校やプロの現場でも使われているとか。機種によって家庭用針使用タイプと工業用針使用タイプがあるようです。

そして工業用ミシン(本縫い)は、いわゆる工場で使われるミシン、テーブルと一体となった鉄の塊で重量は数十キロ。職業用との大きな違いはざっくり言って縫う速度とパワーです。

イギリスには職業用ミシンが無い!?

イギリスには安価な「家庭用ミシン」が一般的で、上級者に人気のタイプは「刺繍orキルト向け」となり、職業用ミシンというカテゴリがありません。つまり、日本で人気の「ジューキ・シュプール」シリーズはなんと、こちらで販売されていないんですよ!あれが欲しかったのに!!

とはいえ、ジューキの職業用ミシン高額モデルとされている「TL-2200QVP Mini」とジャノメ(JANOME)「HD9」のはイギリスでも販売されていて、それらは「キルト用」というカテゴリです。イギリスで縫い物というと、キルトや刺繍、もしくはカーテンなどのインテリアなどが人気です。

そして、英国で売られているキルト用、日本では職業用と呼ばれるミシンの価格は、工業用ミシンで人気のジューキDDL8700-7(糸切りタイプ)とほとんどかわりません。(2020年夏)

・職業用ミシン:ジューキTL-2200QVP Mini:£1350
・職業用ミシン:ジャノメ(JANOME)HD9:£1099
・工業用ミシン:ジューキDDL8700-7:£1250

工業用ミシンDDL8700-7よりもオススメ!?

そんな訳で、こうなったら工業用ミシンで人気ナンバー1と思われるDDL8700-7を買おう!と心に決めてネットにはりつき日本語と英語で検索をかけてYoutubeを見まくって、販売店にメールで問い合わせてみたところ、返信が来た2社がどちらも別の機種をすすめてきました。

「DDL8700-7よりも、DDL7000がいいよ。安いし機能は同じだよ!」

ジューキのDDL7000なんて機種聞いた事ないんですけど?って思ったけど、どうやら海外向け量産モデルらしくて、日本のジューキのサイトないけど欧州ジューキのサイトには載っていました。

ちなみに、英国で工業用ミシンをネットで購入する場合玄関先まで郵便配達、本体とテーブルは自分で接続してね!みたいなところがほとんどで、「そんなの無理!」な素人の私は、相談にも乗ってくれて、家の中へ搬入設置までしてくれる、良心的な個人経営のミシン屋さんを探してそこにお願いしました。そこで提案された機種とお値段は下記のとおり。

英国内ジューキ本縫い自動糸切りミシンセレクション
・DDL7000:£850
・DDL8000A:£1250、膝上げはオプション+£140
・DDL8700-7:£ 1250
・DDL900: no longer made 
・DDL9000B:around £1400
(税込み価格)

そのミシン屋さんの店主マークに、薄地からコートなどの厚地、薄手の皮小物などを縫う旨を伝えると「おすすめはDDL7000、もうちょっと払うというならDDL8000A、ゆっくり縫う設定もできるし多分気に入ると思うよ、DDL9000Bは君には必要無いだろう」とアドバイスをくれました。
最終的にはオイルパンが無いというのが決め手となってDDL8000Aに決定。「別にオイル飛び散って汚れるなんてことないよ」とミシン屋さんには言われたけど、コッチは素人、油のたっぷり入ったフライパンみたいのがカーペットの敷かれてる部屋の中に常にあるのは気になるのよね。膝上げはオプションで別料金だったけど、すごく使うので付けておいて大正解でした。

そのうち工業用ミシンDDL8000Aについても詳しく書こうと思っています。
今回は興味の無い人にはものすごくどうでも良いミシンの話に最後までお付き合いいだたいてありがとうございました。


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